東京改造計画を読んで

東京改造計画を読んで

・斬新でおもしろかった

私は堀江氏の著作にあまり慣れ親しんでいなかったが、話題の書であり、東京都知事選出馬の可能性もささやかれていたため一読することに決めた。私にとって何よりも意外だったのは読みやすかったことだ。読み切るのに1時間程度で済んだ。37に及ぶ提言内容や堀江氏の考える東京都のビジョン、これを細かく章立てし、簡潔、明瞭に記している。ゆえにすらすらと入ってきた上で多くの章を読んだという感覚がほのかな達成感を与えていた。自らの人生や経験裏打ちされた提言内容は既存の政治家にはない発想ではないかと思う者ばかりだった。

・常識を疑うということ

本の中で堀江氏は自らの提言の内容の過激さなどについて言及したうえで、常識を考え直し「ゼロベースで議論しよう」と提言している。これは共感する人が多いのではないだろうか。倫理などに関する疑問を「それが常識だから」と一蹴する人間を私は多く見てきた。その一方で私自身も「それは常識じゃないか」と無意識のうちに口に出していることもあるかもしれない。これくらい多くの人が常識なる普遍的な価値観という思い込みに浸食されているということを指摘しているのだ。私は大学1年の時「アカデミズムとは常識を疑うことだ」と当時社会学を教えていた教授に言われた過去がある。数年前、ノーベル賞を受賞した本所佑氏が類似する発言をしていた。文明が日々確実に進歩していく中で普遍的でいられる価値観なんてほんの少ししかないのだ。堀江氏の提言はまさに今東京、ひいては日本に必要なイノベーションの一部を提示したに過ぎないのかもしれない。

・停滞はいけない

社会が変わる。生活が変わる。こんなことはつい最近言われ始めたことではない。定期的に言われ、そしてそんなに変化することなく今日を迎えた。今回のコロナはこの本来であれば変わるはずだったものを変えかったばっかりに多くの問題や被害を生み出したのではないか。これまでの社会の残した宿題がここに来て大きな負荷になっていると堀江氏は説く。堀江氏の掲げる「3S」(small smart speed)は私個人として大変支持できる内容だ。これはまさしく「小さな政府」と成熟した民間企業によってなせる一つの光景ではないだろうか。堀江氏の提言について個人的に同意できないところだはあるが提言・そして議論を想起するという役割としてこの本は大変有意義な内容だと私は考える。社会の停滞は民衆の活気と熱気を奪い退廃的な心象を生み出していく。人は人生において安定を求める傾向にあるが、安定もまた場合によっては停滞と大差ない。常に進化、前向きに、視野の拡大、興味への没頭、自己の充実を図ることはこれからの社会を楽しむのに間違いなく重要だ。私はこの本を読んで改めてそう思えた。

Polimos 管理人 オカソ

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