直近のアメリカに関する所見

直近のアメリカに関する所見

 2020年11月3日にアメリカ大統領選挙が行われる。これは今日において重要な政治的話題であることは間違いない。不況や疫病などによってアメリカ社会が混乱する中、今後のアメリカを誰が率いるのかというアメリカ人にとって重要な事案が問われることになる。共和党からはドナルド・トランプ氏、民主党からはジョー・バイデン氏がそれぞれ立候補しており両者の対決となることは明白だ。当初はトランプ優勢との意見が多かったが、ここにきて予想外の事件の連続にトランプ氏当選の確立は下がり気味にある。

・BLM運動の影響

  人種差別の問題はアメリカでは定期的に問われる問題でこれに関して世論はとても敏感だ。ただでさえトランプ氏は人種差別主義者などとレッテルを貼られていたこともありこの問題に関して不利になることは仕方がないようにも思える。しかし、この運動は当初の穏健なデモ活動から離れ過激な暴動や略奪などアメリカ社会の秩序を乱す悪人も混在する危険な活動となってしまった。この過激さには同じ理由でデモを行う人々も驚いているのではないだろうか。過激な活動をしている輩はついに建国の父の一人であるトマス・ジェファソンの銅像すら破壊したのだ。これはアメリカの建国の理念への挑戦とも捉えられる重要な事件だ。正義を掲げれば何をしてもいいわけではない。このような暴動を重く見たトランプ氏は軍隊の派兵について言及したが、これもまた批判を招いた。国軍が国民に銃を向けるのはいかがなものかという意見があったからだ。アメリカ軍は中国軍とは違い国家を守るための軍隊なのだ。(ちなみに中国軍は正式名所を中国人民解放軍といい共産党の持ち物の軍隊)確かにアメリカ軍の意見もわかるがアメリカの世論調査によれば軍隊の派兵について全国民の過半数が支持しているという。運動の性質上、人権や平等などを謳う民主党のバイデン氏の支持が上がるのもわかるが、同時に一部の行き過ぎた運動を抑止するために軍隊を派兵することに同意する国民が過半数いるのも事実だ。この運動が今後どれだけ苛烈さを増すかによって大統領選挙にも影響してくるだろう。この人権の問題はどうしても共和党候補者が不利になるようだが、運動が激化しアメリカのアイデンティティや「法と秩序」を乱すということになれば、そこを突き選挙を有利に進めることができるかもしれない。これはすでに1968年選挙の先例がある。

・ボルトンの暴露本

 ボルトン氏が暴露本を出すというのは衝撃的なニュースにして、メディアにとって好ましい餌だ。一部内容が報道されメディアが食いつき、アメリカ国内では続々と買う気の人が増えてきているだろう。報道された一部内容についても疑問があるところだが、まず彼が暴露本を出すということに問題がある。仮にも政府の重役として名を連ねた以上、多くの国家機密を知っていることは間違いない。さらに言えば、彼が職を辞したのは去年であり、最近の重要な機密について知っているにも関わらずこれを暴露するというのは守秘義務契約違反ではないだろうか。故にこの本の出版については政府側と出版社側で訴訟問題になることが予測される。だが、出版社としては世に出せればもういいのだ。それが商売なのだから。さて報道の内容については上院の委員会で別の関係者が嘘だと証言している。彼が政権内で特別な仕事をしたかというと私の知る限りは浮かんでこない。何といってもボルトン氏とトランプ氏では外交における政策が違うからだ。ボルトン氏は就任当初メディアが報道したように「ネオコン」と呼ばれる集団の関係者だ。一方のトランプ氏はアメリカの古典的な外交政策である「モンロー主義」的な外交政策を推進したいように見える。海外における問題を解決し中東からアメリカ軍を撤退することを進めたいようだ。このような方向性の違う人間を政権になぜ入れたのかと言えばそれは選挙だろう。アメリカは二年に一回選挙があるため定期的に選挙のことを考慮した人選をしなければいけないのだ。

・ネオコンとも戦うトランプ氏

  「ネオコン」は民主党から共和党に移籍した保守派を中心とした人の総称だ。(=ボルトン氏は明確には「ネオコン」というよりは「ネオコン的」な人と言える)元々、民主党だったというのが重要で、冷戦期にアメリカが関わった戦争のほとんどは民主党政権によって行われている。これは「ネオコン」の考える民主主義を世界中に布教するという思想が深く関係している。これは一種、トロツキストのようなもので「世界革命論」を「世界民主革命論」にしたに過ぎない。世界中の価値観を民主主義のもとで統一したいのだ。これは賛成・反対、それぞれ意見があるだろうが「ネオコン」はこれをアメリカが率先して介入し実現するという狂気に満ちた思想を保持している。ゆえに「ネオコン」は介入して武力行使できればよく、トランプ氏とは当然意見が合わない。そう考えるに今回の選挙では民主党を応援するような気もしてならない。トランプ氏は元から不利な状況におかれているのだ。

・おわりに

 かつてレーガン大統領が当選した時「保守革命」が起きたと言われた。これは共和党がかつての価値観に立ち返ることができたことを意味している。今回のトランプ氏もまたもう一度この革命を起こさなければならないのかもしれない。大体のメディアは「トランプ氏は危険だ、世界を滅ぼす」などと適当なことを言っていたが、今日において世界は崩壊していないし、アメリカの景気はコロナ以前は大変良かった。トランプ氏のどこが悪者なのだろう。今回の選挙はアメリカだけでなく今後の中国の権益拡大などにも関わってくる選挙であるので今後も動向を注視していく。

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