【公民を見直そう】選挙制度編 選挙制度を理解して選挙権を行使しよう。

【公民を見直そう】選挙制度編 選挙制度を理解して選挙権を行使しよう。

 12月1日に公開した選挙制度についての動画です。選挙制度は中学生くらいの時期に公民の授業で誰もが習うことですが、今回選挙制度の動画を作るにあたって思ったことは学校で習う部分だけでは不十分ということです。社会人の方でも小選挙区や比例代表という言葉を聞いてうまく説明出来ない方もいるのではないでしょうか。この記事では簡単な用語の解説をしていきます。

・小選挙区制

 小選挙区制は現在の衆院選挙で用いられており私たちに最も身近な方式です。小選挙区制は一つの選挙区で当選者を一人だけ輩出する制度です。小選挙区制の特徴としては多数党に有利(泡沫政党に不利)、二大政党制になりやすい、獲得議席が偏りやすい、死票がでやすいなどが挙げられます。特に獲得議席が偏りやすいというのが大きな特徴で、 二大政党どちらかに議席数が偏ることで議会で過半数が占めやすくなり、 内閣が提出する予算案や法案が 通らないといった政治の停滞(伯仲国家)を回避することができます。イギリスで長い時間をかけて編み出された多数を意図的に作り出す知恵の結晶が小選挙区制なのです。 現在日本だけでなく多くの国でこの方式が用いられておりワールドスタンダードといってもいいでしょう。

・大選挙区制

 逆に一つの選挙区で当選者を複数輩出するのを中、大選挙区制といいます。ちなみに中選挙区制 は日本だけにみられる特有の制度であり、大選挙区制よりも当選者が少なめになっています。大選挙区制にも有権者が当選枠の数に関わりなく一人だけ名前を書いて投票する単記制、有権者が当選枠の数だけ名前を書いて投票する連記制があります。日本では1994年まで大選挙区単記制が用いられてきましたがこれには大きな欠陥があります。それは多数の有権者が落選させたいと思っている候補者を落選させられないということであり、この制度で長らく甘い汁をすすってきたのが戦後の最大野党であった社会党です。 この辺は動画で詳しく解説してますので是非ご覧ください。 こういった欠点もあってか大選挙区制はほとんどの国で現在使われていません。

・比例代表制

 続いて比例代表制の解説をしたいと思います。比例代表制とは政党の得票数に応じてその政党に属する候補者に票を配分する制度です。現在日本でも衆参両院選挙で用いられており選挙の折、投票用紙に政党の名前を書く経験があったと思います。政党の名前を書くことでその政党に票が行き、政党に属する候補者に票が配分されているのです。この制度の特徴は泡沫政党に有利なため多くの政党が乱立する状態になる、死票が少ないなどがあります。ドイツやイタリアは比例代表制を中心とした選挙制度であり、マイノリティの意見もしっかりと尊重していくという精神が表れています。比例代表にも大きく分けて拘束名簿式、非拘束名簿式という二つに分けられます。

・拘束名簿式

 拘束名簿式とは政党があらかじめ政党の得票を候補者に配分する順番を決めた名簿を作り、有権者は政党の名前だけ書いて投票する制度です。名簿の順番が上であればあるほど当選は確実になるため候補者は有権者に働きかけるよりも政党内での評価を上げることに尽力します。そしてこの名簿を決めるのが党内を仕切る幹事長であり、この役職に闇将軍田中角栄や竹下登は自分の息のかかった人物を置き続け党内を牛耳りました。

・非拘束名簿式

 これは拘束名簿式と違って政党は順位を定めない候補者名簿を作ります。そして有権者は政党の名前を書いて投票してもいいのですが、当選させたい特定の人物がいるのであればその人の名前を書いて投票でき、候補者名簿の個人名票が多い順に当選していきます。この非拘束式は2001年の参院選から導入され現在まで続いています。

・特定枠

 続いて2019年の参院選から導入された特定枠という制度を解説します。この特定枠は比例代表での制度です。参院選では非拘束名簿式が用いられているといいましたがその非拘束式名簿の上に新しく拘束名簿を設ける、その拘束名簿こそ特定枠です。詳しくは動画を見て頂ければ幸いですが、簡単にいうと特定枠にいる候補者は何もしなくてもほぼ100%当選できます。

この制度は自民党の都合で生まれた制度で、まず一票の格差是正のための選挙区の合区によって鳥取と島根、香川と徳島の選挙区が合区し一つの選挙区になりました。ここで問題になるのは二つの選挙区が一つになるので漏れる候補者が出てくることです。これによって地方で合区反対の意見がでてきました。今でも地方は自民党の地盤が固いので自民党がこれを無視することはできません。そこで漏れた候補者を救済するため、これ以上合区を作らないためにこの特定枠を作ったのです。

この制度を上手く利用したのがれいわ新選組です。この政党は山本太郎の人気を利用して、二人の障害者の方を当選させました。非拘束名簿式に則り有権者が投票用紙に山本太郎と書いても、特定枠にある二人が先に当選できるからです。この制度は与党自民党だけでなく少数政党や個人的な人気のある人がつくった政党にはかなり有利な制度であり、また特定枠の運用は完全に政党の裁量に委ねられている状態で今後悪用される可能性もあります。

ちなみに特定枠に名を連ねている候補者は大々的な選挙活動ができないという謎の制約があります。この辺りは曖昧でれいわ新選組は山本太郎の名前で主催する集会のなかで二人を露出させるという方法で上手く制度の穴を突いたようです。意思疎通を図るのが難しい人間を当選させたのは特定枠のなせる業であり、このあたりは山本太郎のクレバーな部分です。2022年の参院選はこの特定枠を各政党がどのように利用するかに注目して選挙を見るといいかもしれません。

 以上選挙制度の大まかな解説でした。選挙制度の内容だけでなく、制度を政治側がどのように利用してきたかという学校ではあまり教えてくれない部分まで解説できたかと思います。公民を見直そうシリーズは今後も作っていく予定なので私たちと一緒に有権者としての質を高めていきましょう。

Polimos管理人 テル

videoカテゴリの最新記事