民主主義vs権威主義構造をバイデンがつくるかもしれない

民主主義vs権威主義構造をバイデンがつくるかもしれない

 前にpodcastを通じてバイデン政権が中国に甘々だという意見が誤解だということを伝えたが、今回はさらに進んでアメリカがどのように世界に介入してくるかを紹介する。

「バイデン政権の閣僚・要職候補者の顔ぶれ」ロイター通信

https://jp.reuters.com/article/biden-administration-idJPKBN28B3S6

バイデン政権が環境や労働など国内政策に重点を置いているのは明確なことだ。不況下で内政に政権の重点が行くのは当然のことだが、実際アメリカは覇権国の地位を中国によって脅かされているわけでこれに抵抗しないという意見は普通存在しない。

バイデン氏はアメリカの権威がトランプ政権で失墜したとし、これの解消を訴えている。そのため外交もトランプ政権と真逆のことをしてくるだろう。トランプ政権は二国間貿易交渉を主軸に不公正を是正すると言い外交を行ってきた。そのためバイデン政権は多国間交渉や多国間連携を行ってくるだろう。国際機構への支援もトランプ政権よりも積極的に行うと思われる。

まずは環境の観点からパリ協定への復帰、次にWHOへの復帰が考えられる。さらに多国間連携を深めるためにバイデン政権は民主主義サミットの実施を考慮しているようだ。これは著名な外交誌であるForeign Affairsに発表している内容なので間違いないだろう。これによってアメリカは「民主主義vs権威主義」という新しい世界の対立構造を明確にすることになる。

バイデン氏は討論会で外交においてロシアをあげて批判していた。これを見ると非常に旧時代的な外交を行うのではないかという風に予想もできたが、覇権挑戦国である中国への攻撃は行うだろう。標的がロシアか中国かという判断をアメリカにさせるには同盟国からのアプローチが絶対に必要だ。

日本は「インド太平洋戦略」を掲げ、アジア諸国と反中国で協力しようとしている。何としてもここにアメリカを今後も繋ぎ止めなければいけない。この努力が今後の日本外交において重要だろう。ロシアを標的にされるとアメリカは欧州を主軸とした外交を行うようになってしまう。現在の問題はかつてより弱体化したロシアではなく現在進行形で強大化する中国だということを日本が率先して働きかけていかなければならない。

Joe Biden: Why I Chose Lloyd Austin as Secretary of Defense -The Atlantic

https://www.theatlantic.com/ideas/archive/2020/12/secretary-defense/617330/

 対中国などの観点を考えるうえで重要な地位は国防長官だ。私はミシェル・フロノイ氏が指名されると考えていたが、実際はロイド・オースティン氏が指名された。この人事には様々な観点から批判が集まってるようだ。その批判の一つは文民統制の観点からというものが多いらしい。オースティン氏は2016年に軍を退任したばかりだ。アメリカでは退役後7年経たないと要職につけることができないらしい。今回がどうなるかわからないが議論される内容になるだろう。

 オースティン氏を指名した理由についてバイデン氏はいろいろ理由を述べていたが、私はこの人事にかつてのコリン・パウエル氏が重なる。両者ともに優秀な軍人だった。バイデン氏は多様性の一環として黒人を指名したようだが、彼は主に中東で活躍した軍人だ。これは先に述べたバイデン氏の対ロシア外交に繋がってくるだろう。アメリカが段々と中東から撤兵している中、逆にロシアは中東への介入を強めている。最近のトルコはロシア寄りに見えていたし、イスラエルではヘブライ語の次にロシア語が使われていたりするなど、中東におけるロシアの影響力はアメリカが去っている中、上昇している。今回のオースティン氏の国防長官指名はアメリカが外交の主軸を東アジアではなく中東におこうとしているという風に考えられるのだ。

 これは日本にとっては大きな問題だ。このバイデン政権の外交を再び東アジアに向けるために必要なことはバイデン政権への働きかけだけでは足りない。野党共和党への働きかけが必要なのだ。民主党は外交において中国の対立姿勢を弱めることになるがこれを一定の形で継続させるのは野党共和党と協力することも必要なのだ。日本の政治家はバイデン政権だけでなく、野党である共和党の政治家の視野にいれた外交を行わなければいけない。日本の立場が弱い以上したたかにまた多角的な視野を持って政治を行わなければならない。

 日本はアメリカの属国だと言われるがそれは仕方がないことだ。なぜなら今の日本は弱いから。かつての大日本帝国はアジアにおいて高い影響力を保持していた。しかし、敗戦後の日本にその影はまったくない。これを解消できない間は一等国ではない以上、一等国になる戦略を立て、成長しなければならない。

日本は憲法だけではなく、社会、政治そのものに多くの癌が存在している。この欺瞞から解き放たれて初めて日本は本格的にものが言える国になるのだ。バイデン政権の中国への対応はトランプ政権程ではないが攻撃的だ。しかし、その攻撃性が効果を持つかどうかは日本や同盟国がどれだけアメリカにプレゼンできるかにかかっている。情けない話だがそれが現実だ。

Polimos管理人オカソ

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