【さらっとわかる現代社会】三権分立の真実、最強のムンと最弱のトランプ

【さらっとわかる現代社会】三権分立の真実、最強のムンと最弱のトランプ

 小中学校の社会の授業でも聞く三権分立。今回はこれについて解説した。三権分立というとこれは無条件でいいものとして説明され、また日本でも実行されていると考えられている。しかし、よく見てみると三権分立できているかと疑問に持つこともあるのではないだろうか。日本の場合やイギリス、そしてアメリカ、韓国などをさらっと触れながら、三権分立を紹介する。

・モンテスキューの「法の精神」

これ以外にも岩波文庫版がある。

 三権分立の概念を紹介したとされるのはモンテスキューでその著書「法の精神」は有名だ。「法の精神」の中で語られている三権分立は18世紀におけるイギリスの統治構造を紹介したものである。三権というと立法・行政・司法だが、これらが当時のイギリスにおいてはそれぞれ独立していた。立法は下院である庶民院、行政は王の補佐役であり民衆に選ばれた庶民院の代表たる首相、そして司法は上院である貴族院の中にあったのである。これは現代日本で当てはめると衆議院が立法、行政を内閣、参議院が司法といった感じだ。こう見ると一見三権分立できているか危ういと思えるかもしれないが、イギリスにおいてはこれが伝統と歴史に裏付けられ正常に機能していた。

 このイギリスの統治構造を見たモンテスキューは絶対王政における三権の独占は問題だと警鐘を鳴らし、イギリスのような三権分立を求めた。「法の精神」は長編だが、その全部が三権分立について書かれているわけではない。中身は当時のフランスの社会的問題について様々論じており、三権分立以外のことも多く書かれている。要は当時のフランス社会への提言集大成なのだ。

・三権分立とイギリス・日本

 三権分立をモンテスキューはイギリスから見出したが、実際イギリスは現在理解されている三権分立の構造とは若干違う。それは行政と立法が分立しきってない点だ。行政の長である首相は庶民院の議員でもある。立法の庶民院の選挙で当選した多数党の党首が首相として就任する慣習なのだ。すなわち立法と行政は非常に密接な関係にある。これを権力融合という。これによって行政と立法のねじれを緩和するなど議会運営や行政に支障がないようになっている。

 モンテスキューは分立の重要性を説いた。これは間違いではないのだが、分立しすぎると政治に支障が出るということを考慮してなかったようだ。日本は学校で三権分立の体制と教えるが実のところ体制はイギリスと同じであり、権力融合の関係にある。さらに言えば日本は司法と行政の距離も近いことで有名だ。有罪率99.9%や判検交流という制度は問題とされ改革が訴えられている。

・三権分立の国―アメリカ

 アメリカは真面目に三権分立を実施している国だ。行政の長である大統領も立法府を構成する上下両院議員も全員国民が選挙で選択する。司法の長である最高裁判事9名は終身制で大統領が指名、上院で審査の末、就任できる。それぞれの三権の特徴からわかるのは任期もなく、国民の選択を受けない司法が一番強いということだ。だから、2020年大統領選挙前にアメリカでは保守派判事の就任を巡り、議論が巻き起こったわけである。立法府の議会下院は予算など内政について強い影響力を持ち、上院は外交や大統領が指名する閣僚の審査などに強い影響力を持つ。大統領は法案提出の権限がなく、さらに日本のように自由に閣僚を任命できるわけでもない。大統領令も司法が違憲とすれば即無効など、案外強い権力を持ってないのだ。

・権力分立が引き起こす弊害

 アメリカは立法府と行政府が分立している。これは議会に対して基盤を持たないということで議会との協力をできなければ大統領は何の権限も行使できないことに繋がる。これは大統領としては残念なことだ。下院に基盤がなければ予算が通らない。結果、予算が執行できず政府が閉鎖することもアメリカでは起きる政治現象だ。上院でも支持基盤や支持を取り付けられなければ人事も思うようにできず政権運営に苦労する。日本では両方ともありえないことだが、アメリカでは当たり前のことなのだ。

・韓国とアメリカの違い

 韓国も三権分立体制の国だが、アメリカとは真逆で大統領の権限が非常に強い。韓国の大統領は司法からの影響を受けない法理論があったり、自ら法案を提出できる権限を持っていたり、人事も自由など多くの権限を持ち強権である。なぜアメリカではこのようにならなかったのか。その理由はアメリカ建国の歴史にある。

 アメリカはそもそもイギリスの植民地だった。植民地支配の中で本国に重税を搾取されるなど統治の自由が存在しなかった。建国の父とされるピルグリム・ファーザーズもイギリス本国のプロテスタント弾圧に耐えられず脱出した集団である。これらのことからアメリカは強権的な統治体制に強い忌避感を持っているのだ。支配からの自由、信教からの自由、重税からの自由など、建国以前に侵害され続けた自由を独立によって獲得したという歴史そのものが強権的な支配者の存在を生まない制度をつくり出した。南北戦争以前のアメリカはEUのようなもので、アメリカ大統領は今よりも影響力を持たなかった事実がある。アメリカは建国の歴史から強権的な行政府の存在を生み出さない努力をしていたのだ。

・おわりに

 日本は三権分立ではなく、権力融合の国ということがこれを通して改めて理解できたかと考える。三権分立はアメリカや韓国などで実施され、結果日本では考えられないし政治現象を生み出すものがあるんだよということを理解してもらえれば幸いだ。

Polimos管理人 オカソ

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