【さらっとわかる現代社会】首相と大統領の違い。首相のいる政治体制は?

【さらっとわかる現代社会】首相と大統領の違い。首相のいる政治体制は?

・国際的な序列

  首相と大統領と国の偉い人間の名称に差があるが、これはなぜなのかという部分について解説したのがこの動画である。大統領も首相も共通点は三権における行政府の長であるということだ。しかし、立場に大きな差がある。大統領は国の元首(一番偉い)であり、首相は国の元首の補佐(上にもっと偉い人がいる)であるということだ。国際的に偉い順は「国王→大統領→首相」といった形だ。G7とか国際会議を見るとみんな偉い人に見えるがそれは立場がみんな行政府の長という点で共通しているからそう見えるだけで実際はそうではない。首相よりも大統領の方が国家元首かどうかという差で違いがあるのだ。

・首相ってどんな国にいるの?

 首相は国で一番偉い人ではない。もっと偉い人が存在する。ドイツやイタリアだとそれは大統領であり、日本やイギリスだとそれは王族・皇族にあたるのだ。すなわち首相は一番偉い人に変わって行政を行う人のことを言うのである。アメリカやフランスの場合、大統領より上に偉い人はいない。故に国家元首(一番偉い人)なのだ。首相のいる国は政治権力を持っている人と国家元首の立場が分離している。これは絶対王政や王による独裁を防ぐという歴史の上で誕生したのだ。イギリスだとチャールズ1世、日本だと後醍醐天皇など、どの国の歴史にも残念な国家元首は存在する。そこから権力を世俗に移すことで国家元首の権力を制限し、絶対王政などの強権を生み出さない仕組みが生まれたのだ。すなわち首相は首相より偉い人がいる国に存在する役職なのである。

・絶対王政と立憲君主制について

 絶対王政とは未だに王様が三権(立法・行政・司法)の全てを握っている状態のことだ。一方の立憲君主制は憲法によって王様から三権を取り上げ、それぞれの機関に振り分けるといったものである。どっちが安定したものかは明らかだと思うがどうだろう。

・絶対王政

 絶対王政だと王様が嫌いな人間は殺される可能性がある。事実、それが起きたのがサウジアラビアだ。サウジアラビアのムハンマド皇太子がトルコの大使館内でカショギ記者を殺した話は有名である。これこそまさに絶対王政のなせるわざである。法律も王様が選んだ学者によって制限された議論の幅で国王の望む法律の制定となるのだ。全てが王様とその一族の思うがままというのが絶対王政である。いい王様が即位すればいいが、実際そんなことは稀な話だ。

・立憲君主制

 立憲君主制は王様の独裁が許されないように憲法によって権力を制限している。三権を取り上げ、世俗の権力に与えるのだ。言葉にすると簡単だが、普通の王様は嫌がって血みどろの抵抗を行う。イギリスのピューリタン革命などはまさにそうだ。日本では皇族は抵抗した歴史がないという大変特異な国であるがゆえにその重み、難しさがわからないが実際難しいことなのである。

 次に権力を取り上げられた国家元首は傀儡かという疑問が出ると思うので説明するが、立憲君主性における国家元首(日本だと天皇)はロボットでも傀儡でもない。君主には3つの権利が存在し、これを行使して政治に影響力を持てる。天皇ロボット説なる奇怪な憲法論を唱える日本の憲法学は世界でみると非常識な国だということを是非とも理解して欲しい。

立憲君主制の元祖である、イギリスの憲法学者ウォルター・バジョット氏による君主の権利とは警告権・激励権・被諮問権の3つだという。

警告権は行政府に警告する権利だ。日本だと田中儀一内閣が張作霖爆殺事件の調査に後ろ向きということに昭和天皇が叱責したという事例はまさに警告権の行使にあたるだろう。立憲君主制において君主の言葉に従う必要はないのだが、権威がこの事象に影響力を持たせるという大変面白い話なのだ。

次に激励権だが、これは国民に対して行われる。天皇陛下の各地巡礼やビデオメッセージなるものは全てこれにあたるのだ。

最後に被諮問権だが、これは現在でいうところの内奏にあたる。以上のことからもわかるだろうが、君主は決して傀儡ではない。権威を持って政治に影響力を行使できるのだ。しかし日本では特殊な憲法論(特に東大憲法学)、それを正当化する機関(内閣法制局)の存在がこれをわからないようにしている。

次回は何かと誤解の多い、大日本帝国が絶対王政だったのか、それとも立憲君主制だったのかということについて解説していく。

Polimos代表 オカソ

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