【隷従への道④】弱い議会が強権を振るう官僚を生み出す

【隷従への道④】弱い議会が強権を振るう官僚を生み出す

・民意を政治に反映させる方法

 今回は議会と官僚の関係について話したが、重要なのは国民の声を政治に反映させるのは誰かということにある。官僚は行政府の一員として活動し、彼らは試験で合格して今の職にある人たちだ。一方、議会を構成する議員は立法府の一員であり選挙によって国民の信任を得て職に就く。どっちが国民の意思を政治に反映させる役職にあるかは明確だ。

官僚はあくまで行政府の一構成員でしかない。ゆえに国民のために働くということよりも、自分のこと、さらには所属する組織、部署、課についての方が身近で気になることだ。政府は「国民のために政治を~」なんて言うのは確かにそうなんだけど、官僚にその意思が必ずしもあるかという点はあまり期待しない方がいい。しかし、議員はそうもいかない。有権者に選ばれた利益代表なのだから当然、有権者の声を国政に届け、反映し成果を挙げなければいけない。もしできなければ信任をなくし次の選挙で落選してしまう。だから国民の声を反映させるためには国民が議員の仕事ぶりを確認して場合によっては落選させることが必要なのだ。

 かつて自民党が民主党に大敗して政権交代が起きた時、自民党はもう一度政権を担うべく奮起し民主党を攻撃し続けた。その原動力は政権を奪還する意思に他ならない。民主党が当選した選挙区の奪還、政権の奪還、この意思こそ自民党が政権復帰した一要因である。

では現在の野党に必要なのは何か。それは与党の揚げ足取りではない、国民に政権を取る意思をアピールし、議席を増やすための建設的な議論を行い、行政を監視、対案によって優劣差を見せ、国民の選択肢になることである。これが与党と行政府を監視する真の議会の役割だ。そしてこれを実現するには国民が議会を監視する必要がある。不当な行為を行う行政府に加担する議員を落とし、国民に不利益を与える議員を落とし、そして国民のためになる議員にチャンスを与えること、これを有権者は行動で示していかないといけない。このような手順を繰り返した末に国民の声を社会に反映する政治が実現するのである。

・官僚の欲

 官僚にとっての関心は国民に向いていない。彼らにとって重要なのは天下り先であり、昇進ポストであり、評価される実績だ。これらは彼らがどれだけ仕事をしたか、政策を実現できたかに由来する。こうなると法案を内閣に提言し、実現させた数が官僚の実績になってしまう。この結果が立法爆発だ。国民が知らない間に知らない法案が審議され、知らないうちに成立し、気づく間もなく国民は適応される。このように官僚の欲が国民を苦しめている現状を打破することによって国民はより一層の自由を獲得できるのだ。「炭素税発言をする官僚」が出てくる最たる要因はこれを監視する機関がその職務を果たしてないからである。

・議会民主制の特徴は決まらないこと

 本来、各選挙区によって利益は違う以上、一法案の内容によっては与野党問わず、選挙区ごとに意見の相違があるはずだが、そのようなことは日本においてありえない。党議拘束によって議員は賛成・反対の意見が党の方針としてあらかじめ決まっているからである。だから委員会の最中や議会場で居眠りするのが出てくるのだ。予算案などの重要なことについては党議拘束も仕方ないが、そうでないものは各選挙区の議員それぞれ自由討議が当たり前で日本はこの点ですでに議会の在り方に問題を抱えている。

・強いリーダーシップを求めるということが意味する可能性

 危機の時代や弱い政権を見て「強いリーダー」が必要という声が聞こえる時がある。強いリーダーを求めるのは結構だが、当然そのリーダーを退任させる手段も用意しなければ独裁につながる。ヒトラーもスターリンも皆強いリーダーだ。彼らを政権から引きずり落とすことは死ぬまでできなかった。このように退任の手段のない状態で強いリーダーを求めると危ない事になる。ゆえに民主主義における選挙と自由主義の思想が重要なのだ。「強いリーダー」の存在が悪とはまったく思わないが、退任させる手段をつくることで緊張感が生まれることは間違いない。

videoカテゴリの最新記事